詩的なものを書いてみた。タイトルは「アイデンティティらしきモノ」
わたしは花
小さくて図鑑になんかのっていない
名前もないただの花
いちねんのほとんど 咲いているわたしを「変だね」って
となりの花がいう
「花って咲いたり散ったりするのよ」
「あなたはニセモノなんじゃないの?」
「そういうのゾウカっていうのよ」
わたしは蝶
夜にしか飛ばない蝶
蜜をすったり お花のあいだで飛んでいるより
夜に飛びまわって 私をみつけた人が
「かわいいね」
「ステキね」
「めずらしいね」っていってくれるほうが嬉しい
でもある日二人一組じゃないと飛ばない蝶が
「あなたって変だね」っていうの
「蝶は明るいうちに花と花のあいだを飛ぶのよ」
「夜に飛ぶなんてニセモノなんじゃないの?」
「そういうのガっていうのよ」
わたしは人間
名前も住所もあって家族だっている
大変なことも たくさん たくさんあるけれど
ときどきはステキなことだってあるの
でもね
「あなたは人間?本当?」
「ただの棒じゃない」
「そういうの棒人間っていうのよ」
じゃあ わたしは 何ですか?とは聞かない
だって わたしは
花であり
蝶であり
人間だ
わたしが そうだというのだから そうなんだ
「ゾウカ」でも「ガ」でも「棒人間」でもない
あなたたちは ただ わたしを 否定したいだけなんでしょ?
ほかのものを認めたくないんでしょ
かわったものが 嫌いなんでしょ
知ってるよ
だから わたしは 大きな声をあげたりはしない
そのかわりに わたしは
心の中で何度も何度もつぶやくの
わたしは わたしでしかない と。
だれに なんといわれても
踏まれても
泣かされても
叩かれても
身を引きちぎられたとしても
何度だっていう
わたしは わたし