手紙 ~拝啓 あの時のサクラ先生へ~
アンジェラ・アキさん
「手紙~拝啓15の君へ~」
拝啓、サクラ先生。お元気でしょうか?
サクラ先生は私が小学2年生の時、担任してくれましたね。
ぽっちゃりした体型でいかにも肝っ玉母さん的存在でした。
私はね、先生のこと好きだったよ。
でもね、先生は私のことキライだったんだね。
学年の男子が女子のスカートめくりばっかりやってて
女子生徒が廊下でキャーキャー言って泣いてるの
私は我慢できなかったんだ。
それでね、男子だってやられたら嫌なことあるだろうと
考えた私は「ち〇ちん握り」という仕返しをはじめた。
そしたら、何故かその遊びが大流行してしまい
休み時間になると、校庭で行われる
「スカートめくりVSち〇ちん握り」
鬼ごっこのように見えるけど違うと分かったサクラ先生たちは
私だけを職員室に呼んで怒ったよね。
じゃあ、教室で静かに遊ぼうと思った私は
母に毛糸を輪っかにしてもらって
教室の隅で友達とあやとりして遊んでた。
すると、今度はあやとりが大流行して
授業中までやってる子がいたんだって。
そこから犯人捜しがはじまって
「さとうさんが流行らせた」って口をそろえて言ったんだってね。
女ってヤツは子供でも残酷だって小2のさとうさんは知る。
サクラ先生は私を呼び出すと
「さとうさんは、どうして皆と違うことばっかりしたがるの?」
「どうして普通のことが出来ないの?」
と怒ったんだ。
私はね、前回のこともあったから
「どうして私だけが怒られるんですか?」と聞いた。
「私は休み時間にしか遊んでないし、授業中にあやとりするように言ってない」とも。
すると、サクラ先生は見た事もない表情で
「ダメなものはダメなの!どうして分からないの!!」と激怒した。
「もう次に変な遊びを流行させたら許しませんからね!」
サクラ先生、3年生になってそろばんで廊下を走ったりするの流行ったよね。
サクラ先生、4年生になるとヨーヨーが流行って窓ガラスが何枚も割れたね。
でも、その生徒は怒らなかったって聞いたよ。
ねぇ、サクラ先生。
どうして私ばかりを怒ったの?
九九の覚えが悪かったから?
背が高くて目立つから?
変な遊びを流行らせたらまた怒られると思って
私は、机の上で絵ばっかり書いてた。
本ばっかり読んでた。
サクラ先生と高校時代に再会した時
進学校の制服を着た私を見るなり
「まぁ、立派な学生になって!そうなると思ってましたよ」
って言ってくれましたよね。
ねぇ、サクラ先生。
あの時を引きずったまま
私は大人になったよ。
※実話ですがサクラ先生は仮名です。