前略、さようなら。

一文字一文字を記していくことですべてを過去にしていきたい。

病院学級にいたクラスメイトの話 ①

 

 

 

今回はちょっと話題の毛色が違います。

 

 

心のどこかに引っかかっていること。

もう、真実は知る事ができないこと。

そういう話です。

 

 

さとうさんが小学生の頃

クラスメイトに病院学級の女の子が一人いたの。

(今は院内学級とか言うんだよね)

 

 

クラス名簿に名前はあるけど

机もなければ会った事もないクラスメイト。

 

 

 

ある日

担任の先生から

「明日から一週間ヒマワリさん(仮名)が登校します」

と言われた。

 

 

何の病気かは知らせてもらえなかった。

 

 

翌日登校すると

クラスに机がひとつ増えていた。

 

 

そして、肌が真っ白で

黒髪のおかっぱ姿で

目が大きくて

可愛らしい女の子が座っていた。

洋服も真っ白なレースがついたブラウスに

真っ白なカーディガン。

 

 

「童話に出てくるお姫様みたいだ」

 

 

と、さとうさんは感じた。

 

 

 

クラスメイトは転校生が来た時のざわめきとは違っていて

どこか遠目で眺めている感じ。

 

 

そんなクラスメイトとは違って

さとうさんはお姫様に興味津々で

休み時間が待ち遠しかった。

 

 

休み時間になるとすぐにヒマワリちゃんのところに行き

たぶん、なんでもないような会話をしたと思う。

自己紹介とか、今学校で流行ってることとか。

 

 

翌日もヒマワリちゃんは登校していて

私たちはお喋りに夢中だった。

ヒマワリちゃんのところは勉強が遅れていたらしく

学校の授業にはついていけないって言ってた。

その頃には私の他にも数人でお喋りするようになってた。

 

遊んだり、運動ができないヒマワリちゃん。

だから、休み時間はずっと机を囲んでお喋り。

 

 

その翌日、ヒマワリちゃんは登校して来なかった。

先生が「体調が悪くなったから」とだけ言った。

お見舞いに行きたいと生徒が言うと「ダメです」と。

 

 

その後、ヒマワリちゃんに会う事はなかった。

卒業式にもいなかった。

でも、卒業アルバムにヒマワリちゃんはいた。

 

 

その後、高校生になって

通う中学が同じだったはずの同級生に

(私とヒマワリちゃんは通う中学の学区が違ったんです)

「そう言えば、ヒマワリちゃんは?」と聞くと

「死んだよ」と言われたのでした。

 

 

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