前略、さようなら。

一文字一文字を記していくことですべてを過去にしていきたい。

さよなら大好きな人。ずっとずっと大好きな人。第七章~指輪~

 

 

ハル兄ちゃんがコロコロママとの交際を周りが止めれば止めるほど

話が前に進んでいった。皮肉なもんで。

 

コロコロママは名前のとおり

美人なわけでもなく丸くてポチャっとしてて小さくて

男には優しいけど女には嫌われるタイプの典型の女性

閉店後の片付けをするハル兄ちゃんを待つ間

ボックス席に陣取っては「まだー?」「他のヤツにやらせて帰ろー」

と誰の店だか分からない状態。

 

コロコロママのお店は、私が働く店とは正反対のタイプで

キラキラしたシャンデリアや鏡張りで店内が明るい。

ホステスもわりとカジュアルな感じの服装なのです。

 

 

 

組長さん同士の話合いも無事に終わり

いろいろな条件をつけられ

二人は結婚に向かってまっしぐらだった。

(私はそこまで話が進んでいる事も知らずハル兄ちゃんの側を離れなかった)

 

 

ある時、店に行商人がトランクを抱えてやってきた。

ハル兄ちゃんはカウンターに通すと私の隣に座った。

トランクを開くと色とりどりの宝石がいっぱい。

 

私は、ドキドキした。

ハル兄、いよいよ私に指輪?

なんて呑気で、勝手に喜んで眺めていたの。

 

ハル兄ちゃんの口から出た言葉を聞くまでは・・・。

 

 

「この前はこのカタチのピアスにしたからー」

「同じタイプの指輪の方がいいよね?」

 

 

え?私ピアスなんて貰ってない。

そう言えばこの前コロコロママが大きなダイヤのピアスしてた!

 

 

 

「婚約指輪だからこのくらいの値段でいいかな?」

「もう少し高い方がいいのかな?」

 

 

婚約指輪!?誰と誰が?

なんで?私とじゃないの?

 

 

 

 

なんで?

 

 

なんで?

 

 

なんで???

 

 

 

私の心の中なんか知らないハル兄ちゃんが

指輪を眺めてニコニコしている顔が

憎らしく感じた。

 

 

 

私は、結婚する前の日までハル兄ちゃんにすがって泣いた。

「なんで私じゃないの?」

「どうしてコロコロママなの?」

「私たちいつ別れたの?」

 

ハル兄ちゃんは困った顔で

「ごめんな」

「諦めてくれ」

「結婚はアイツとするんだ」

その繰り返しだった。

 

 

わたしは、いつの間にかフラれてた。

 

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毎日のように側に張り付いては泣きじゃくる私を

引き離す係まで出て来る始末。

ハル兄ちゃんの友達だ。

「もう諦めよう」

「みんな止めても結婚するって言うんだから」

「泣いても戻ってこないぞ」

 

毎日、毎日言い聞かせられた。

 

コロコロママとハル兄ちゃんの結婚を機に

私とハル兄ちゃんは店を辞めた。